「あなたの土地は大丈夫?」知らないと損をする地盤のこと vol.9

このページで使用している画像、文章は「株式会社 扶桑社」の了承を得て転載させていただいております。
「新しい住まいの設計」

1994年9月号

(解説・監修 ジオテック株式会社 住宅地盤相談室)

相談内容

神奈川県 小田原市 内藤哲広さん(仮名・51歳)


東海沖地震が噂されて久しい日本。地震で起こる"液状化現象"てどうなることを言うのですか?


地震のニュースが報じられるたび、私が現在住んでいる小田原市でもいつ地震が起こるかと心配です。

最近は地盤の液状化の話題が、必ずといってよいほど取り上げられています。

液状化というのは実際はどのようなことが起こる現象をいうのでしょうか?

また、どの地でも地盤の液状化を心配しなければいけないのでしょうか?

回答

地震の際に液状化現象がクローズアップされたのは1964年に発生した「新潟地震」と「アラスカ地震」です。それまでは建物を支える地盤として信頼されていた厚い砂層が、一瞬にして軟化したために、新潟では多くの建物や橋梁が沈下または倒壊してしまい、建築と土木の世界で大騒ぎになりました。

いったん液状化が問題になり、時間をさかのぼってそれまでの地震を追跡調査してみると、液状化は巨大地震と呼ばれている地震ではかならずといってよいほど発生していることが、最近まとまった研究成果からも明らかになっています。(「日本の地盤液状化履歴図」...若松加寿江著)

釧路沖、奥尻島地震でも液状化が報道されたので、言葉ではどなたでも聞き覚えのある現象として広まっているわけですが、実態は意外に知られていないために、ある意味では不安ばかりが先行しているということもあるのではないでしょうか。

液状化は土中の地下水の水圧が地震によって急変することが主な原因となるのですが、巨大地震の膨大なエネルギーが地盤を揺さぶると、局所的に水分が密集する場所ができ、それまで締まっていた土が、急激な水圧の増加によって土の粒子のひとつひとつが水で押し広げられて離れ離れになってしまうために、あたかも土という物質が液体のようになってしまうのです。

とくに土質が砂分を多く含む場合に液状化が発生しやすいというのが定説で、粘土のように粘り気のある土では粒子どうしが互いに吸着しあっているので、急激な水圧の増加にあっても離れ離れにならないのですが、砂粒は簡単に遊離してしまうことから、液状化してしまう危険を内在させているのです。

最も液状化する可能性のある地盤というのは、まず砂地盤であること、しかもゆるい砂地盤で、さらに地下水が地表面付近の浅い深度に存在しているような地盤です。逆に砂地盤であっても、地下水に浸されていない砂地盤では液状化が起こりにくいとされています。

我が国の海岸沿いの低地のほとんどは、沿岸の潮流が運んできた砂がゆるく堆積し、しかも海抜高度が低いために水位が高く、液状化には気をつける必要があるのですが、だからといってむやみやたらと発生するものではないようです。東京都をはじめとして自治体単位で液状化の「判定図」や「予測図」を作成しているエリアが増えてきているので、お住まいの地域の県庁(防災課など)に問い合わせてみるのがよいでしょう。


教訓

地下水が地表面付近にある砂地盤の場所では、要注意です。
自治体単位で液状化の予測図を作成している所も多いですから、問い合わせてみるのもよいでしょう。