JIS A 1221:2020 スクリューウエイト貫入試験方法(SWS試験)
この規格は,2017年に第1版として発行されたISO 22476-10を基とし,我が国で使用されている試験装置及び試験方法によって長年蓄積された地盤データに基づいて建築,土木などの設計体系が成り立っていることを考慮し,技術的内容を変更して作成した日本産業規格である。この試験装置及び試験方法は元々スウェーデンで開発されたものであるため,我が国では導入元である国名を考慮して旧規格までは"スウェーデン式サウンディング試験方法"という名称としていた。しかし,対応国際規格ではスウェーデンという国名が付けられていないこと,並びに我が国では試験装置及び試験方法が独自に発展し,対応国際規格とは異なるものとなっていることから,規格名称を"スクリューウエイト貫入試験方法"と変更した。
「JIS A 1221:2020 スクリューウエイト貫入試験方法」序文より
SWS試験(スクリューウエイト貫入試験)の試験手順
SWS試験の測定範囲
試験結果の整理とデータ処理
- 土質の判定
- SWS試験で土質を判別するには、十分な地中の土を採取することができません。厳密には、様々な観点から土の成分や性質を分析し、建物を支える地盤として強さを総合評価すべきですが、本試験では、互いに性質が大きく異なる「粘性土」・「砂質土」・「礫質土」に土質を大別します。
- 「砂質土」・「礫質土」の場合は、ハンドルを回転させながらロッドを貫入させるとハンドルを介して「シャリシャリ」や「ジャリジャリ」という感触や音が伝わってくることがあり、土質を分類する際の有力な手掛かりとなります。
- 「地形図(土地条件図等)」によっても、おおよその土質の判別が可能なので、必ず参照します。
- 地表付近で瓦礫混じり(人為的地中障害物)の盛土が施されている場合は、機材が瓦礫層を通過する際の摩擦抵抗によって測定値が大きく記録されるため、そのままの値を採用して土質の判別や地耐力を推定することができません。したがって、瓦礫層を通過する際に観察される「ガリガリ」という感触と音を記録して瓦礫の有無を判別します。
換算N値の算出
- 地盤の強さを判定するには、その評価手続きがある程度認知されている「N値(エヌチ)」を目安にすることが広く行われています。
- 「N値」は、もともとビルなどの重量構造物向けの地盤調査として普及しているボーリング・標準貫入試験の測定値ですが、SWS試験においても、本来のN値に準じる「換算N値」を算出すことのできる換算式が提案されています。
- 現場で記録された実測値を、地盤工学的なデータに変換し、解析の手掛かりとするために、「換算N値」を下記の式により算出します。
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換算N値は粘性土用と砂質土用の2式が用意されており、大別した土質分類に基づいてそれぞれの式に実測値を代入することによって得られます。
【粘性土】の場合、3Wsw + 0.05Nsw
【砂質土】の場合、2Wsw + 0.067Nsw
【礫質土】の場合、2Wsw + 0.067Nsw- Wsw
- 荷重(おもりの重さ)
- Nsw
- 1m当りの半回転数(半回転数Naを4倍した計算値)
ハンドルを回転させずにおもりの自重だけで貫入する場合は、この値はゼロとなる
- 計算例
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粘性土で0.75kNのおもりを載せた段階でロッドが沈んだ(ハンドルは回転していない)
3 × 0.75kN(Wsw) + 0.05 × {0回(Na) × 4}(Nsw) = 2.25 ≒ 2.3 -
砂質土で、1.0kNの重りを載せてもロッドが沈まなかったので、ハンドルを回転させたところ、25cm貫入させるのに5半回転した
2 × 1.0kN(Wsw) + 0.067 × {5回(Na) × 4}(Nsw) = 3.34 ≒ 3.3
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粘性土で0.75kNのおもりを載せた段階でロッドが沈んだ(ハンドルは回転していない)