佐賀県の地形・地盤
地形
佐賀県は九州北西部に位置し、北を玄界灘、南を有明海に接する。
地形は山地、丘陵及び台地、低地より成り立ち、脊振山系の展開する県北東部―県央部、多良火山地の県南西部、東松浦半島の上場台地より丘陵地帯が南延する県西部一帯、発達する平野部からなる県南部一帯の大きく4つの部分に分けられる。
福岡県境を成す県北東部に展開する脊振山系は、脊振山(せぶりさん/標高1055m)、天山(てんざん/標高1046m)、井原山(いわらやま/標高983m)、金山(かなやま/標高967m)などの1,000m級の山々を擁し、県央に向かって山塊を形成する。山塊の中央部は高原状の広がりを持ち、嘉瀬川の西側で標高700m程度、東側では標高500m程度の小起伏な地形面を成すとともに、河食低地や段丘面が分布する。
また、県南西部の多良岳(たらだけ/標高996m)一帯は県内唯一の火山地を形成しており、県内最高峰の経ヶ岳(きょうがたけ/標高1075m)を擁する。
県北西部の東松浦半島は、上場台地と呼ばれる開析溶岩地形からなり、南延して県西部の丘陵地帯へと連なっている。丘陵部は、500-700m程度の山体を中心とする小山地と河食低地より成り立ち、半島部同様に地質的にもろく、土砂災害頻発地域でもある。
県南の大部分を占める佐賀平野、白石平野は、脊振山系を水源とする筑後川、田手川、城原川、嘉瀬川、六角川など諸河川下流部に発達する複合的な三角州であり、脊振山系南面の山麓部には河食段丘や扇状地性低地なども発達する。自然排水が困難な日本有数の軟弱地盤地帯でもある。
地盤
山地
各種岩盤類などで形成された基盤の上位に、黒ボク土や森林性有機質土、火山地では火山礫や軽石などが被覆する。
宅地地盤としての性状は、形成年代や開発状況(土種、層厚、成層状態)により異なるので、注意が必要である。一般に、黒ボク土や森林性有機質土が厚い場合、固結土層が存在する場合、傾斜地を造成する場合には、慎重な基礎選定を要する。
丘陵地・台地
岩石や砂礫で構成される丘陵地、台地。黒ボクや浸食二次堆積土が被覆することが多い。
住宅地盤を想定した場合、浅い深度から密実な礫質層が確認される場合は、問題は少ないと言えるが、堆積状況が不均質な場合には十分な注意が必要となる。
低地
河川によりもたらされる土砂を主体とし、砂や砂礫、砂質シルトなどを混在する。構成土の性状により、礫質の扇状地性低地と細粒土からなる三角州性低地の二つに大別される。
住宅地盤を想定した場合、軟弱層の層厚や礫地盤の安定性に留意する必要があり、基礎形式の選定は特に慎重に行なう必要がある。
- 参考文献
- 「縮尺20万分の1 土地分類図付属資料(佐賀県)」(発行:財団法人 日本地図センター)
- 「地質と調査 通巻第68号/1996第2号―連載19 佐賀県の地盤―」(発行:株式会社土木春秋社)
- 「日本の地質9 九州地方」(発行:共立出版株式会社)