岩手県の地形・地盤
地形
岩手県の地形は、北上高地が広く覆う県東半と奥羽脊梁山脈が南北を貫く秋田県境の県西部の2つの山岳地、及びこれらに挟まれた低平な盆地平野地の大きく3つに分けられる。
北上高地は、山系のおおよそ7割が岩手県東半に展開しており、紡錘形の山地帯を形成して南北に広がっている。山系の最高峰は、中央山岳地帯に位置する早池峰山(はやちねさん/標高1917m)で、東西に1400-1800m級の山々を連ねて早池峰連峰を形成している。早池峰山の谷を挟んだ南には薬師岳(やくしだけ/標高1645m)が位置し、北上山系では険しい大起伏地を展開している。この中央山岳帯を除けば、北上山系の標高はすべて1400m以下であり、その山容は穏やかな隆起準平原*1の様相を呈する。
山地の西縁は丘陵などを経て北上川、馬淵川(まべちがわ)に沿う低地帯に接し、東縁は太平洋に没している。海岸線は宮古付近を境に、北部では急崖を伴う直線的で幅の広い段丘面を特徴とするのに対して、南部では鋭角的で出入りの多いリアス式海岸を形成し、段丘面はほとんど見えない。
一方、秋田県境に沿う奥羽脊梁山脈は、1000m級の山々を中心とした山岳地を形成し、真昼山地付近では1000-1400m級を擁する大起伏の山容を呈する。また、那須火山帯に属する大きく4つの火山地を内包しており、北部では八幡平(はちまんたい/標高1613m)、県最高峰の岩手山(いわてさん/標高2038m)、南部では焼石岳(やけいしだけ/標高1548m)、栗駒山(くりこまやま/標高1627m)といずれも高い標高を誇っている。
低地は、主に山間盆地と北上川、馬淵川の流域に分布し、礫質の段丘状地形や扇状地からなる。
注釈
- 浸食輪廻終末期の浸食基準面に達していた準平原が、何らかの地殻活動の結果、高所に位置したもの。浸食基準面とは地表面浸食の下限の面を指し、河食の場合には海面や川面を、波食では波の及ぶ下限面がこれにあたる。
地盤
山地
各種岩盤類や礫層が基盤を形成し、その上位を粘性土や岩盤類由来の風化土砂が被覆している。火山地では熔岩や火山砕屑物、その風化土砂と火山泥流堆積物などが主体となる。
宅地利用に際しては、造成による地盤状態の改変を考慮し、自然地盤の状態と人工的な盛土部分とのバランスに配慮した対応が必要である。
丘陵地
山地に比べ起伏量の小さい部分。主に山地周縁に分布するため、基盤構成はほぼ山地に準じるが、火山性の場合には軽石のような火山噴出物が被覆している。
宅地利用に際しては、造成による地盤状態の改変を考慮し、自然地盤の状態と人工的な盛土部分とのバランスに配慮した対応が必要である。
低地
山間盆地や河川流域に分布する。砂質土や粘性土を混在する軟弱地盤となっていることが多く、基礎形式の選定は慎重に行う必要がある。
扇状地や低位段丘面では主に砂礫層が分布しており、戸建住宅の地盤としては良好な場合が多いが、砂礫と軟弱な氾濫原堆積物(砂質土や粘性土)とが互層状を呈することもあるため、慎重な対応が必要である。
- 参考文献
- 「縮尺20万分の1 土地分類図付属資料(岩手県)」(発行:財団法人 日本地図センター)
- 「日本の地質2 東北地方」(発行:共立出版株式会社)