高知県の地形・地盤
地形
高知県は、地体構造的には中央構造線の西南日本外帯*1に属し、おおよそ北東東-南西西方向に並列する地質地形構造を特徴としている。地形構成は県下約85%を山地が占め、他は丘陵地、砂礫台地および段丘状地形、低地などからなる。
県北から中部にかけては、愛媛側から延長する石鎚山地と四国の脊梁をなす四国山地が横たわり、瓶ヶ森(標高1896m)や三嶺(みうね/県下最高峰1893m)などに代表される1,500-2,000m級の高山地帯を形成している。急傾斜、V字谷を特徴とする高山帯の南側には、1,000m以下を主とする低山地が広がっており、物部川(ものべがわ)、仁淀川(によどがわ)の下流部に発達する低平地形、高知平野に接している。このほか、吉野川流域、物部川中流域にいくつかの地溝性盆地がみられる。
県東部には、剣山地などが展開し、1,300m前後の山々を擁する中起伏山地が分布する。山体が海岸線に迫る山麓地域では、中級河川の開析と波食作用による段丘状地形が発達するほか、河川溪口部を扇頂とする扇状地の形成も著しい。
県西南部は、概ね700-1,000m程度の小-中起伏山地を主として、いくつかの山塊に分断された典型的な地塊山地*2の様相を呈し、定高性丘陵を付随する。中村平野を始めとする四万十川流域に分布する低地の多くはかつて沈降地形に海水が流入していた部分である。
注釈
- 四国の中央構造線は、概ね佐多岬半島の北岸と吉野川河谷を結んだ延長線を成し、構造線の太平洋側を西南日本外帯、日本海側を西南日本内帯という。
- 断層で区切られた地殻の断片(断層地塊)が、いくつか連なることで形成される山地を地塊山地という。地塊山地は隣接する断層盆地(地溝)と密接な関係があり、地殻の隆起地域で形成される。
地盤
山地
各種岩盤類などで形成された基盤の上位に、森林性有機質土あるいは侵食作用により流出した二次的土砂が堆積する。
宅地地盤としての性状は、形成年代や発達過程(土種、層厚、成層状態)により異なるが、一般に、表土や二次堆積土が厚い場合、固結土層が存在する場合、傾斜地を造成する場合には、慎重な基礎選定が必要となる。
丘陵地・砂礫台地・段丘
山地に比べ起伏量が小さく、岩石や砂礫で構成される。平野部や盆地に発達し、黒ボクや森林性有機質土が被覆する。
住宅地盤を想定した場合、浅い深度から密実な礫質層が確認される場合は、問題は少ないと言えるが、堆積状況が不均質な場合や造成等が行われる場合には、慎重な対応が必要となる。
低地
河川流域に形成された開析谷や河口沿岸域の平野部で、いわゆる沖積層を成す。
河川によりもたらされる土砂や浸食二次堆積土を主体とし、砂や砂礫、砂質シルトなどを混在することが多い。
一般に軟弱地盤を形成することが多いため、住宅利用を考えた場合、基礎形式の選定は特に慎重に行なう必要がある。
- 参考文献
- 「縮尺20万分の1 土地分類図付属資料(高知県)」(発行:財団法人 日本地図センター)