岐阜県の地形・地盤
地形
岐阜県は、地質学的には列島地体構造の中央日本区に属す。
隣県7県と陸部を接する内陸県であり、地形的には県域のおよそ8割が山地によって占められる山岳県で、県の西部、北部、東部域を広く覆っている。低地は県南平野部のわずか2割程度にすぎない。
地形構成は、山地・火山地、山麓丘陵および段丘と低地より成り立つ。
山地の分布は、飛騨山脈南端に属する東部、飛騨高地に属する北部中央部、両白山地に属する西部に分けられる。
東部域では県内最高峰の奥穂高岳(標高3190m)を筆頭に、乗鞍岳(同3026m)、御嶽山*1*2(同3067m)、笠ヶ岳(同2897m)、黒部五郎岳(同2840m)など3000m級の山々 を擁し、大起伏の山岳地を形成している。一方、西部域には白山(標高2702m)一帯の火山地を含め、1200-2700m級の山々が展開しており、東西山地はいずれも険しい山容を呈している。東西山地に挟まれる中央部は飛騨高地と呼ばれ 、南へ1500-1000m程の一段低い山体で構成されている。
山岳地は概ね北から南に標高を下げ、高地や山麓丘陵、段丘状地形を経て、濃尾平野に至る。濃尾平野は北部山地に端を発する飛騨川や長良川、木曽川とその支流が流入し、発達した沖積低地を形成している。
注釈
- *1.御嶽山は厳密には長野県に属する。山体は両県に跨るが、そのピークは長野県にある。
- *2.乗鞍・御嶽両山域は火山地「乗鞍御岳火山帯」を形成する。
地盤
山地
各種岩盤類が基盤を形成し、その上位を黒ボク土や森林性有機質土、岩盤風化土砂などが被覆している。火山地では熔岩流ないし泥流堆積物が分布する。
宅地利用に際しては、造成による地盤状態の改変を考慮し、自然地盤の状態と人工的な盛土部分とのバランスに配慮した慎重な対応が必要である。
丘陵地
山地山麓部や高地の周囲に分布する起伏量の小さい部分。基盤構成はほぼ山地に準じ、上位を黒ボク土や森林性結城質土等が被覆する。
宅地利用に際しては、造成による地盤状態の改変を考慮し、自然地盤の状態と人工的な盛土部分とのバランスに配慮した慎重な対応が必要である。
台地(砂礫台地・低位段丘面など)
岩石や砂礫で構成される段丘面で、主に河岸や山間盆地に形成される。
戸建住宅の地盤として考えた場合は、浅い深度から均質かつ密な礫質層が形成されていれば、問題は少ないといえるが、不均質な場合や表層付近に二次堆積土が分布する場合には、沈下に対して注意する必要がある。
低地
平野部および河川流域に分布し、いわゆる沖積層を成す。
扇状地、三角州、自然堤防などの微地形を含み、河川によりもたらされる土砂や浸食二次堆積土を主体とし、砂や砂礫、砂質シルトなどを混在することが多い。
住宅利用を考えた場合、軟弱地盤を形成していることが多いため、基礎形式の選定は特に慎重に行なう必要がある。
- 参考文献
- 「縮尺20万分の1 土地分類図付属資料(岐阜県)」(発行:財団法人 日本地図センター)
- 「日本の地質5 中部地方II」(発行:共立出版株式会社)