三重県の地形・地盤

三重県の地図 三重県の地形図

地形

三重県は紀伊半島東縁に位置し、半島に横たわる中央構造線*1が県央を東西に貫いているため、県北と県南とで大きく異なる地質構造を示す。

県北部は、南北方向の地質構造を特徴とし、地形的にも概ね南北の広がりを有する。北部地形は、主に山地と低地で構成され、山麓丘陵や砂礫台地などは平野部や低地周辺部に局部的に分布する。

県北山地は、岐阜県、滋賀県との境界に沿って細長く分布し、北から、低山地を展開する養老山地、高度1000m程度の山々を擁する鈴鹿山脈と高度を下げて連なる布引山地、さらに中央構造線に接する比較的険しい山容の高見山地などが挙げられる。

北部低地は、布引山地西方に形成された上野盆地、伊勢湾沿岸部に広がる伊勢平野に代表される。

中央構造線以南の地域では、東西方向の地質構造を特徴とし、県南端の熊野川河口付近を除いて、ほぼ全域が紀伊山地に属する山地に覆われている。特に奈良県境では高度1200-1600m級の山体を含む大起伏の山地帯が形成されており、険しく壮年期的な山容を呈する。三重県最高峰は標高1695mの大台ケ原山。

注釈

  1. 関東から紀伊半島、四国を経て、九州へと連なり、日本列島を縦断する大断層。三重県では、県央西部の高見山と志摩半島の山地の北縁を結ぶ線上が、概ね断層ライン。

地盤

山地

各種岩盤類などで形成された基盤の上位に、森林性有機質土あるいは侵食作用により流出した二次的土砂が堆積する。

宅地地盤としての性状は、形成年代や発達過程(土種、層厚、成層状態)により異なるが、一般に、表土や二次堆積土が厚い場合、固結土層が存在する場合、傾斜地を造成する場合には、慎重な基礎選定が必要となる。

丘陵地

基盤構成、表層地質とも山地に準じる。

宅地利用に際しては、造成による地盤状態の改変を考慮し、自然地盤の状態と人工的な盛土部分とのバランスに配慮した慎重な対応が必要である。

台地(砂礫台地・低位段丘面など)

岩石や砂礫で構成される段丘面で、河川流域の周辺部に形成される。

戸建住宅の地盤として考えた場合は、浅い深度から均質かつ密な礫質層が形成されていれば、問題は少ないといえるが、不均質な場合や表層付近に二次堆積土が分布する場合には、沈下に対して注意する必要がある。

低地

河川流域のいわゆる氾濫原や河口付近では大量の土砂が供給されて、軟弱な粘性土や緩い砂が厚い軟弱層を形成することが多く、長期的な沈下に対する十分な注意を要する。山間や段丘の開析谷では腐植土や有機質土の分布のほか、侵食流出した二次堆積土が被覆する傾向もあるため、地盤状況の把握が必須である。

住宅地盤を想定した場合、地盤補強等の対策を要することが多い。

参考文献
「縮尺20万分の1 土地分類図付属資料(三重県)」(発行:財団法人 日本地図センター)
「日本の地質5 中部地方II」(発行:共立出版株式会社)
「地質と調査 通巻第94号/2002第4号―連載39 三重県の地盤―」(発行:株式会社土木春秋社)