住宅地盤相談室に寄せられたご相談内容 No.62
相談内容
自宅が不同沈下していることが判り、ハウスメーカーの保証にて某施工業者の沈下修正工事を行ってもらうことになりました。
土地の状態は以下の通りです。
- 十数メートル軟弱地盤
- 元湧水である
- 近くの古い土地は、沈下を続けているとのこと(近隣の住人の話)
沈下により壁に亀裂が発生している。 - 現場は、近くの道路を2年ほど前に改修舗装したが、数cm沈下し傾斜が発生した。
- 隣の古い家では、築15年ほどで30cm以上沈下し、現在も沈下中のもよう。家の近辺の土地自体も同様に沈下しているもよう。
施工業者の施工計画書では、約1間ピッチの鋼管杭の計画ででてきました。
ハウスメーカーの説明では、杭により建物の全荷重を支える事はできない。土と杭との両方で支持する。杭の周りの土が無くなることは、無い。
私の疑問(不安)は、以下の通りです。
- 今まで土地と家とが同様に沈下し、更に家の重みにより不同沈下していたものが、杭により家の沈下が止まって、不具合は、発生しないか?
(家の沈下が止まり、土地の沈下はのみ進行しないか) - 家の基礎の強度検討は、施工業者が行うとのことだが、建築当時より、基礎が図面どうり施工されておらず色々トラブルが発生している基礎で、強度的にだいじょうぶか?
あまり要点が絞り切れていませんが、何かヒントにでもなるアドバイスがありましたらご連絡をお願いいたします。
回答
- 鋼管杭が硬く締まった層に根入れされる(杭の先端が食い込む)と、建物の沈下が止まり、周囲の地盤が沈下して、見た目には建物が抜け上がったようになることが予想されます。
- しかし、通常は不同沈下によって建て付けの狂いなど著しい不具合が生じ、日常生活にも支障が出ているために、沈下修正工事が計画されるので、建物が抜け上がる懸念よりも、沈下そのものを止めることの方が優先されるのです。
- 沈下を抑止し、かつ抜け上がりも起こさないような沈下修正工事は困難だろうと考えます。
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周囲の地盤が沈下することに対して、あらかじめ講じておくべき処置として、
- 玄関ポーチなどの土間コンクリートと基礎を絶縁し、沈下に伴って互いに亀裂が入らないようにしておく
- ガス管や水道管などの地下埋設管は、蛇腹式のフレキシブル・ジョイントで建物の内外を接合し、沈下量のずれで破断しないようにしておくこと
- 基礎にこれまでどのようなトラブルが発生していたかが分からないので、強度的に大丈夫かどうかは何とも言えません。
【 お願い 】
ご相談の事案に対する回答は、限られた情報によって推測される所見であることをご承知ください。
したがって、この回答を直接的に交渉や請求の手段とすることはご遠慮くださるようお願い申し上げます。