住宅地盤相談室に寄せられたご相談内容 No.59
相談内容
東西南3方を道路に囲まれた雛壇造成の敷地(約78坪)に木造2階建て(延べ床面積約45坪)を建てようとしています。北側は隣家が既に立っています。敷地は非等厚な総盛土のようです。
スウェーデン式サウンディング検査の結果、東側擁壁(高さ約-1m)から約1.5m程度内側付近の地盤が充分に締まっておらず、軟弱層がある事がわかりました。検査の結果は以下の通りです。
- 敷地中央付近はGL-2m付近までほぼ換算N値ほぼ4以上。
- 建物の南東、北東の角が東側擁壁から約1.5m内側に位置しており、この部分の換算N値は
- 南東部…GL-5.75mまで2.3~3.8程度がだらだらと続く。
- 6.25mで急に16.6となり、そこで「石あり貫入不能」となっている。
- 北東部…GL-3.75mまで2.3~3.8程度がだらだらと続く。
- その後上昇し、5mで23.8、5.25mで26.4となり、そこで貫入停止。
ハウスメーカーは、地盤調査会社との検討の結果、杭基礎(6m程度)にした方がいいといいます。
しかし検査結果では、GL-5~6m付近で換算N値15以上はあるが、数mの連続が確認できておらず、支持層と断定できないのではないかと思います。このような場合、支持層とみなしてよいものでしょうか。
もし摩擦杭になるとしたら、土質が関係すると思われますが、土質は「粘土性の真砂(礫まじり)」と記述があり、粘性土と砂質土の中間土のようです。このような地盤に打って効果があるのでしょうか。
また表層改良という手もあると言われました。表層改良はGL-2m程度が限度とすると、その下の層は換算N値3.2~3.8のままであり、2mの盛土+建物の荷重に耐えられず、効果が期待できないと思いますがどうでしょうか(柱状改良にすべきでしょうか)。
またその方法として、固化剤を使わず、数センチ盛っては転圧を繰り返すという方法で行うらしいのですが、このような方法は一般的に行われているのでしょうか。また効果があるのでしょうか。
結局どうするのがベストなのかが判断できません。アドバイスを何卒よろしくお願い致します。
回答
Q.N値15の層を杭基礎の支持層とみなし得るか?
- 調査地の近傍で、ビルなどを建築する際に行われているボーリング・標準貫入試験のデータがないかどうか探し、N値15の層の信頼性を確認します。
- ボーリング・標準貫入試験はスウェーデン式サウンディング試験に比べ、硬い地層も掘削できる能力を持っています。
- ボーリング・データを集積した「広島県地盤図」という書籍を図書館で見るか、役所の建築指導課で最寄りのボーリング・データを閲覧させてもらうか,どちらかの方法で調べます。
Q.粘性土と砂質土の中間の土で、摩擦杭を打って効果がある?
- N値が0などという極端に軟弱な地盤でもない限り効果はあります。
Q.表層改良の効果を期待できるか?
- ある程度の厚さの表層改良を施せば、計算上は効果ありとの結論を誘導できますが、実際には盛土の自重が軟弱層を刺激していたりするので、不同沈下が発生している物件があります。
Q.数十センチずつ盛土をしては転圧を繰り返す方法は、一般的か?また効果はあるのか?
- 住宅・都市整備公団の造成マニュアルにあります。地耐力の管理目標は3t/m2ですが、地盤調査をする中には、目標に達していない宅地も散見されます。
Q.結局、どうすべきか?
- 調査位置と建物の配置計画の関係などが定かではないため確答するのは困難ですが、沈下対策として信頼性があるのは柱状地盤改良でしょう。
【 お願い 】
ご相談の事案に対する回答は、限られた情報によって推測される所見であることをご承知ください。
したがって、この回答を直接的に交渉や請求の手段とすることはご遠慮くださるようお願い申し上げます。