住宅地盤相談室に寄せられたご相談内容 No.34
相談内容
基礎について教えて下さい。
ベタ基礎、布基礎、の違い、施工方法・注意点 また、どのような時にどのような基礎を使うのかおしえてください。(仕様書には布基礎となっているが、ベタ基礎のようになるので大丈夫といわれました。)
地中梁とはどのようなものでしょう?どのような形状ですか。
回答
基礎には次のような種類があります。
- 布基礎
- 布基礎(地盤に接する面積を広くするために底面の幅を拡幅した布基礎)
- 防湿基礎
- ベタ基礎
- 地中梁(繋ぎ梁、基礎梁と同義)
1.布基礎(5t/m2仕様)
- ほぼ部屋割りの境に沿って、その真下に鉄筋コンクリート製の基礎を線状に敷設したもの。
- 形状は逆T字型(⊥)で、地盤に接している部分の基礎幅は360~400mm程度。
- 建物の荷重は基礎に集中するが、基礎から地盤に伝達される荷重の大きさ(接地圧)は、一般に基礎の底面積1m2当たり5tを最大として設計される。
- 基礎が5t/m2で地盤を圧迫するので、地盤の方でも、それに耐えられるだけの力(地耐力)を保有していなくてはならない。
仮に地耐力が2t/m2しかない場合には、建物荷重と地盤の力比べに地盤が負けて、建物は沈下を起こしてしまう。
※ 建物荷重も地耐力もその大きさをt/m2で表現する。
2.布基礎(3t/m2仕様)
- 地盤が軟弱で地耐力が不足している時に、基礎の底面を拡幅し、地盤に接する表面積を大きくすると、面積が増えた分だけ荷重が分散し、接地圧が小さくなる。
- 一般に3t/m2程度まで接地圧を低減できるので、やや弱い地盤でも建物荷重とつり合って沈下を発生させない。(あるいは沈下量を小さくする。)
3.防湿基礎
- 実質的に布基礎であるが、基礎と基礎の間を薄い土間コンクリートで被覆して湿気が上がってくるのを防ぐ。
- 見た目にはベタ基礎と見分けがつかない。
4.ベタ基礎
- 建物下部全面に板状の基礎を敷設する。
- 縦横に鉄筋が入ったコンクリートの基礎であるため、たわみが少なく、一部分だけが沈下する不同沈下に対して抵抗性がある。
- かなり軟弱な地盤で採用される。
- ベタ基礎は自重が大きいので、3t/m2仕様の布基礎に比べて接地圧が大きくなる場合があり、さらには基礎が地盤に及ぼす応力が深くまで到達するので、結果的に、沈下量がかえって増大するというデメリットがある。(圧密沈下を促進する)
- にもかかわらず採用されるのは、発生する沈下を均等化する作用がベタ基礎に見込めるからで、ベタ基礎の底面積が大きいために接地圧が小さくなるからではない。
- ベタ基礎が有効に作用するためには、地盤が一様である必要があり、建物下で軟弱層の層厚が急変していたり、瓦礫などが基礎に接触していないことが肝要。
※ 地盤調査を実施して地層の勾配は判読することが望ましい。 - ベタ基礎の厚さは最小で150mm程度。
5.地中梁
- 地下室などの床や天井、壁は鉄筋コンクリート造りの厚い構造物で構成されており、大きな荷重が流れても圧壊することがないように設計されている。
- そのような壁や床をスラブ(耐圧版)というが、スラブが「面」であるのに対し、線形の耐圧の横架材を地中梁という。
※ 柱:垂直方向の部材 梁:水平方向の部材
【 お願い 】
ご相談の事案に対する回答は、限られた情報によって推測される所見であることをご承知ください。
したがって、この回答を直接的に交渉や請求の手段とすることはご遠慮くださるようお願い申し上げます。