住宅地盤相談室に寄せられたご相談内容 No.31
相談内容 其の一
我が家は船橋市のやや台地になった場所にあり、建築して約10年になります。
バブル期に建てたため粗雑な工事がされており雨漏り等たいへんな苦労をしました。
最近、地盤に関して以下のような不安を持っています。
我が家は畑を埋め立てて建ててあり、敷地の2面は今も畑に接しています。
雨の後など家の脇に棒を差し込むと容易に60センチ程度入り込み、そこでやや固いところに当たります。
しかし、土台さえしっかりしていれば良いと気にしないでいましたが、土台から出ている下水配管部分や浄化槽周辺の土が地下に向かって流され空洞(まだそれほど大きくはありませんが)ができているのに気がつきました。
そこで心配になったのは、隣接した畑の地下水路に向かって土台の下の土がどんどん流れていき、いずれは土台が傾くのではという不安です。
心配することはないのか、今のうちに手を打った方がよいのか、
回答 其の一
- お住まいの場所は、地形的には「台地」に分類されると推定されます。
- 台地には良好な地盤とされる「関東ローム層」が堆積していますが、その表層は「黒ボク」と呼ばれるフカフカの土に覆われていることが多く、おそらく「容易に指し込める60センチ」がこれに相当しているのでしょう。
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文中の「隣接した畑の地下水路」が何を意味するのか定かではありませんが、この配管に穴が空いているのであれば、土が流出している可能性があり、配管の穴を修復するか、隣地境界沿いに土の流出を止めるための何らかの遮蔽物を設ける以外に有効な対策はないでしょう。
( 隣地までの空地が狭い場合は、施工ができない事も考えられますが・・・・。) - 原因を究明するには、配管工事の専門店に依頼して実際に土を掘削してみるしかありません。
- 陥没の原因としては、樹木の幹や根を埋め立てたために腐植して空洞ができた場合や、浄化槽の脇の埋め戻しの転圧不足なども考えられます。
- いずれの場合も豪雨の翌日に急激な変化が見られることがあります。
- 現状の様子を写真に撮影しておくことも大事です。穴の大きさ、深さが分かるようにメジャーを添えて写します。日付も必要です。
相談内容 其の二
私の文中の「畑の地下水路」というのは、どんなに雨が降っても水が畑に吸い込まれているので、黒ぼくとその下の固い層の間に自然にできた水路があるのではと想像したものです。
隣接しているのが道路や住宅であれば雨水は表層を流れるのに畑であるために水路ができ、自宅の敷地に降った雨が地面に吸い込まれ畑の自然にできた水路に向かって流れるとき土台の
下の土を削っているのではと考えました。このようなことは考えられませんか。
建築図面では地面から土台のぐり石の下面までが39センチなので、黒ぼくの層が60センチとすると、フカフカの黒ぼくで支えていることになります。基礎幅36センチの布基礎で2階建ての地耐力はあるものなのですか。(これだけの情報では判断できないかも分かりませんが)
今のところ空洞になっているのは下水配管や浄化槽の周辺だけのようなので、自分で少し掘ってみようと思います。
回答 其の二
「地下水路」の件
- 土質によって水を透過しやすい土と透過しにくい土とがあり、関東ローム層はどちらかといえば水を透過しにくい土です。
- 地下に水みちがあるとすれば、砂や砂礫を多く含む地層がある場合に、砂礫層には空隙があるので水を透過させやすいことから、地表にしみ込んだ雨水がゆっくりと降下していき、砂礫層に到達した段階で、横方向に移動し始めるということがあります。
- お住まいの地域では、砂礫層が分布している深度は、少なくとも3~4mの厚みで堆積しているローム層の下部であり、表土に影響を与えることは考えられません。黒ぼくとローム層は互いに接しており、その間に「水路」があることもまったく考えられません。
黒ぼくの途中に接地している基礎
- 栗石を敷き詰めた時点で、通常は転圧を施し地盤を締め固めますが、その効果によって30センチから50センチの深さの土の地耐力を高めることができるので、実質的に基礎はローム層の上に載った状態であると推定されます。
【 お願い 】
ご相談の事案に対する回答は、限られた情報によって推測される所見であることをご承知ください。
したがって、この回答を直接的に交渉や請求の手段とすることはご遠慮くださるようお願い申し上げます。