住宅地盤相談室に寄せられたご相談内容 No.8
相談内容
茅ヶ崎市東海岸南4丁目の分譲地なのですが、36坪の敷地の南側は2.5m程度の擁壁になっています。 すなわち、南側の隣地が一段低くなっており、日当たりは申し分ないと思います。 そこは18棟の分譲地で、以前はテニスコートとして使用されていました。
当該の土地が造成地となっておりまた擁壁を抱えているので、確認のために地盤調査資料を不動産業者から取り寄せました。
3カ所ほど、スウェーデン式サウンディング試験を行っています。
- 1カ所は深さ50cmまで、換算N値が15になっており、測定はそこで終了しています。
- 1カ所は、深さ75cmまで換算N値が6程度ですが、深さ2.5mまで換算N値が3になっています。それより深い場所では値が上昇し、深さ4mでは換算N値が15程度になっています。
- もう一カ所は深さ6mまで換算N値が3から5となっています。ただし、深さ3.75m付近の一点のみ換算N値が13と大きくなってます。その直上が値が一番小さく2.3となっています。
- 推定土質は砂混じり粘性土となっています。
市役所の建築指導課にこのデータをみせたところ、次ぎのように言われました。
- 換算N値が低く地盤がやわらかい。
- 地盤改良によって不同沈下は抑えられる。
ただし、この地域は海岸に近く全体に砂地なので、地盤改良しても地震時の液状化にはあまり効果がないかもしれない。 - この地域で地盤改良をしている人は多くはない。
- 元々、小山になっていたところを削って造成しているようですが、擁壁の近くは盛土している可能性がある。
更に、業者から擁壁について、次のようなことを言われました。
- そこの擁壁は継ぎ足しになっていて、下の1.5mの部分はテニスコート造成時、昭和50年代に造られたものです。
- その上に、今回宅地として使用するに当たり、ブロック塀に使うようなブロック3層を継ぎ足して、その厚みの分は盛り土して土地を嵩上げしています。
- ブロックに配筋はしてありますがどのようになっているのかはわかりません。
更に、そのブロックの上の部分は現在法面になり更に数十センチ高く土が盛ってあります。そのつらの高さに家を建てるのです。
西隣には、すでに建て売り住宅が建っています。
基礎はベタ基礎です。
ブロックの部分はこのままでは強度が出ないと思ったのか、業者が3月に補強工事をする予定です。
回答
- ブロック3段積みに数十センチので合計で80センチ程度の新規の盛土が施されていることになります。しかも、貫入不能 の試験ポイントがあるということは、瓦礫(砂利)混じりの盛土ではないかと推測されます。
- 盛土は約50センチの厚みで、2階建て程度の建物の重さに匹敵します。すなわち、盛土の自重だけでも下部の軟弱層を 刺激し、沈下が進行し始めている可能性があります。
- テニスコート造成時の擁壁が斜めの「重力式擁壁」ではなくて垂直な鉄筋コンクリート擁壁であれば、その背面はかならず盛土です。
- 3箇所のデータにバラツキがあるのであれば、地層に勾配があり、地盤のバランスも悪いということになります。
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地盤改良は沈下防止対策であり、液状化防止には有効ではありませんが、振動を低減する効果は期待できます。
※戸建住宅において現実的かつ経済的な液状化対策は提案されていません。 - べた基礎の採用の可否は、基礎の直下で軟弱層が急変していないことと、基礎に瓦礫が接触してテコの支点とならないよう配慮することが肝心です。
【 お願い 】
ご相談の事案に対する回答は、限られた情報によって推測される所見であることをご承知ください。
したがって、この回答を直接的に交渉や請求の手段とすることはご遠慮くださるようお願い申し上げます。