住宅地盤相談室に寄せられたご相談内容 No.10
相談内容
現在 鶴見川周辺の都筑区佐江戸辺りで、重量鉄骨の3階建て を建てることで 設計中なのですが、建築業者曰、川の周辺ということで、 関東ローム層がない地域らしく、かなり地盤が軟弱で 重たい建物を 建てるにあたっては、岩盤までパイルを打たないといけないらしい ということで、 当初の予算計画が 崩れかけています。 市役所などで調べた結果からも 深さ5m~10mぐらいのところに 固い地盤が有るということでした。
そこで以下の点についておたずねしたいと思っております。
- このような 建物/地盤の周辺情報の場合、スウェーデン式サウンディング方式の調査でも十分なのでしょうか?
- 対策として 適当なものは ジオコラム工法/鋼管杭工法/コンクリート杭のどれにあたるのでしょうか? また費用的には 基本的にどのように違うのでしょうか
- 何等かの杭工法の場合 望ましくは岩盤に到達してから更に 1m 辺りまで差し込むことが必要とされている様なのですが、鋼管杭工法の場合、ここまで 届かない場合が有ると聞いていますがその様な場合でも問題はないのでしょうか?
- 御社 ホームページによりますと 地盤工事は 100万~150万と掲示されているのですが、建蔽面積 47平米程度の 重量鉄骨/ALC 総3階で柱数6本で、の場合 概算として どのぐらいの費用に成るのでしょうか?
回答
全てのご質問に共通して前提となるのは、重量鉄骨3階建ての建物は、通常の2階建ての戸建住宅とは異なり、建築確認申請の際に、役所の建築指導課から要求される項目が多く、必要な手続や工法がそれによって制限されているということです。
- 地盤調査はボーリング・標準貫入試験を採用し、硬く締まった支持層を確認する必要があります。
- 支持層とは、支持杭を支えることのできる地層のことで、ボーリング・標準貫入試験によって選られる「N値」が50以上でかつ層厚が5m以上連続するような硬く締まった層です。
- スウェーデン式サウンディング試験は、通常の戸建住宅向きの地盤調査として定評はありますが、支持層確認ができません。
- 地盤が軟弱であれば、沈下対策として支持杭を打設する必要もあります。直径が300mm以上の杭であれば、鋼管であれ、コンクリートであれ、材質は問われないのが普通です。
- 小口径の鋼管杭は建設車両の能力などの問題で、支持層に根入れすることが困難な場合があります。
- 地盤改良(ジオコラム工法)は、設計上では十分に重量鉄骨3F程度の荷重を支えることが可能であるにもかかわらず、目下のところ役所では認知されていないのが現状です。ジオコラムの場合は本数がおそらく40本以上は必要となり、単純に支持杭とのコスト比較は無理です。
- 支持杭を採用する際には、建物の基礎も頑強なもの(地中梁など)に変更する必要があります。
【 お願い 】
ご相談の事案に対する回答は、限られた情報によって推測される所見であることをご承知ください。
したがって、この回答を直接的に交渉や請求の手段とすることはご遠慮くださるようお願い申し上げます。