住宅地盤相談室に寄せられたご相談内容 No.97
相談内容
購入を検討している分譲住宅は9~10メートル、最大14メートルの盛り土によって造成された団地内にあります。
ボーリング調査の結果は「粘土化が進んだ風化片岩を主体とする砂礫~礫混じり粘土からなり標準管入試験で採取される土質試料は、採取率50~80%程度を示しており全体に良く締め固められた状態で、掘進中及び管入試験中においても、空隙様の異状は認められなかった。従って、本調査地において施工された盛土層については、良好な施工管理のもとに実施された盛土層と推測されよう。」とあります。
購入予定地に一番近い地点(斜め後ろの区画)でN値は3~52とばらつきあり平均では10で、4メートル地点でN値52をしめしています。
しかし、10メートルの地点で最下部非常に軟弱で、ビニール片等を混在し、旧表土と部分と思われると言う部分が気になります。
このような地盤でべた基礎で木造2階建て(36坪くらい)は大丈夫なのでしょうか?
また、団地内のボーリング調査だけで大丈夫なんでしょうか。
回答
- 厚い盛土が施されている場合、もっとも問題となるのは、盛土の自重(1mの厚さで約1.5t)で、盛土の直下の地盤が圧縮されることです。
- 盛土によって沈下のスイッチが入り、時間の経過とともに急速に進行しますが、盛土が厚ければ終息するまでの時間が長引きます。
- すなわち、途中のN値が良くても、地盤全体は沈下していくわけで、盛土が施されてからどれくらい時間が経過しているか、今後も沈下は起こりうるのかを確認することが肝心です。
- 盛土材について注意すべきことは、建築廃材などの瓦礫が混入していないかどうか、基礎の接地面に人頭大の大きな瓦礫が部分的に接触していないかどうかを確認することです。よく締固めたといっても、瓦礫同士のあいだに空隙があれば、雨水といっしょに表面の土が吸込まれうっすらと地盤が陥没することがあります。また、部分的に瓦礫に接触すると、そこがてこの支点となり、不同沈下の原因となります。
- 本来なら当該の宅地について、配置計画の建物角でスウェーデン式サウンディング試験を実施するのが望ましいと思いますが、いきなり硬そうなので貫入できないのではないでしょうか。バックホーなどの掘削用の建設機械で筋掘りをして、盛土材の状態を確認してみてはどうでしょう。
【 お願い 】
ご相談の事案に対する回答は、限られた情報によって推測される所見であることをご承知ください。
したがって、この回答を直接的に交渉や請求の手段とすることはご遠慮くださるようお願い申し上げます。