江東区の地盤
江東区の地形
江東区は区全域が低地に属 し、地下鉄東西線をおおよその境として、東京湾に接する南側の大部分が江戸期から昭和期にかけて出現した人為的な埋立地*1である。江戸期には主に隅田川 や荒川河口部の三角州(海岸低地)の埋め立てが行われており、越中島や佃島(中央区)がほぼこの時期に陸続きとなっている。
注釈
- この地域の埋立事業は、徳川家康の江戸幕府開府(1603年)の前後から本格化している。江戸城城下の拡大と新田開発、幾度もの大火で発生したゴミ 問題の解消などが動機と考えられ、現代にも通じる。区内を縦横に走る運河も江戸期埋立てと時を同じくする徳川事業の足跡である。
地形・地質と住宅地盤
海岸低地
東京湾沿岸に広く分布する標高の低い平坦面である。地下水位が高く、上部には緩い砂や軟弱なシルトなどが分布しているため、標準的な基礎では十分な耐力を確保することが困難であり、適切な基礎補強策が必要となる。 また埋立地では埋め土部分の性質、特にいわゆるガラや廃材の混在等についても考慮しておく必要がある。
自然堤防
周囲の氾濫低地や海岸低地と比べ海抜高度がわずかに高く、一般に河川に沿って帯状に分布している。河川によって運搬された砂や砂礫が浅い深度から分布しているため、住宅地盤としては、比較的良好な場合も多い。しかし、度重なる河川の氾濫と蛇行によって運ばれた軟弱な粘性土や緩い砂が自然堤防の上に新たに堆積している場合には、基礎補強対策が必要となることがある。