川崎市多摩区の地盤
川崎市多摩区の地形
多摩区は多摩丘陵の北縁に位置している。区の北部は多摩川の広大な氾濫低地にあたり、上流より運搬された砂や砂礫が堆積した微高地(自然堤防)がほぼ全域に分布している。一方、南部には多摩丘陵が広がり、五反田川・平瀬川などの小河川と他の水路の浸食作用により、谷地が複雑に形成されている。また、主に丘陵の裾地付近には河川などに浸食されて生じた段丘面に、ローム土が堆積した台地状の平坦面が分布する場合がある。
地形・地質と住宅地盤
丘陵地
海抜高度が高く、自然地盤は堆積年代の古い安定した地層で形成されているが、起伏に富んだ地形となっているため、切土や盛土による大規模な造成が施されていることが多い。比較的平坦な頂丘部や切土主体の宅地では良好な地盤となっているが、盛土主体の宅地や切土地盤と盛土地盤が混在する宅地では、バランスの悪い地盤となっており、不同沈下を防止するような基礎補強策が必要となる。
- 地盤データ例
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- A.南生田5丁目
谷底低地
台地部が小さい河川などによって削られて形成された低地で、台地部の間に樹枝状に分布している。台地を形成していた土砂が再堆積した土や有機質土(腐植土)などが分布しており、非常に軟弱な地盤となっている。したがって、長期的な沈下(圧密沈下)を防止するような基礎補強策が必要となることが多い。
- 地盤データ例
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- B.桝形5丁目
氾濫低地
河川流域に広く分布する標高の低い平坦面である。地下水位が高く、軟弱な粘土やシルトが厚く分布しているため、長期的な沈下(圧密沈下)が問題になる場所が多く、適切な基礎補強策が必要となる。
*多摩川流域で東京都狛江市・川崎市多摩区以西の地域では、比較的浅い深度に被覆された自然堤防と思われる硬質層が分布する傾向を持っており、状況によっては良好地盤と判断される場合もある。(下記 自然堤防を参照)
- 地盤データ例
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- C.菅野戸呂16*
自然堤防
周囲の氾濫低地や海岸低地と比べ海抜高度がわずかに高く、本来は河川に沿って帯状に分布している。河川によって運搬された砂や砂礫が浅い深度から分布しているため、住宅地盤としては比較的良好と考えられる。しかし、河川の氾濫と蛇行によって、自然堤防の上に新たな軟弱な粘性土や緩い砂が堆積している場合には、基礎補強対策が必要となることも多い。