川崎市川崎区の地盤
川崎市川崎区の地形
川崎区は、大正時代から海岸部を大規模に埋立てられており、現在の首都高横羽線(産業道路)を境に海側は広域埋立地となっている。自然地形を残す首都高横羽線以北は、多摩川の最も下流(河口)にあたり、三角州を形成している。この三角州には多摩川由来の氾濫低地と東京湾由来の海岸低地とが混在している。また、双方に由来する微高地(自然堤防・砂堆など)が散在するが、その多くは新たに堆積した土砂によって被覆されている。
地形・地質と住宅地盤
氾濫低地
多摩川流域に広く分布する標高の低い平坦面である。地下水位が高く、軟弱な粘土やシルトが厚く分布しているため、長期的な沈下(圧密沈下)が問題になっている場所が多く、適切な基礎補強策が必要となる。
- 地盤データ例
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- B.宮前町*
海岸低地
東京湾沿岸に広く分布する標高の低い平坦面である。地下水位が高く、上部には緩い砂や軟弱なシルトなどが分布しているため、標準的な基礎では十分な耐力を確保することが困難であり、適切な基礎補強策が必要となる。
- 地盤データ例
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- A.池上新町1丁目
自然堤防
周囲の氾濫低地や海岸低地と比べ海抜高度がわずかに高く、本来は河川に沿って帯状に分布している。河川によって運搬された砂や砂礫が浅い深度から分布しているため、住宅地盤としては比較的良好と考えられる。しかし、河川の氾濫と蛇行によって、自然堤防の上に新たな軟弱な粘性土や緩い砂が堆積している場合には、基礎補強対策が必要となることも多い。
広域埋立地
海岸の浅瀬を人工的に陸地化した部分であり、大規模で厚い盛土が行われている。盛土には掘削残土や瓦礫などを主体とする土砂がよく利用されており、その性質は自然堆積地盤に比べて非常に不均一かつ不安定である。また、盛土は海底に堆積しているヘドロ(非常に緩い砂層)の上に投入されていくため、極めて軟弱な状態となりやすく、通常、宅地として造成する際には表層部の地盤改良を施しているケースが多い。しかしながら、表層改良の程度によっては十分な耐力を確保することが困難な場合もあるため、慎重な対応が望まれる。
川崎区の埋立地は工業用地としての性格が強く、一般の住宅地盤としての利用はほとんどないものと思われる。